私は2023年6月で71歳になります。1級建築士を取得して多く方に支えられ43年経ちます。あと何年私の頭が正常に動いてくれるのか不安を抱えながら、日々悪徳鑑定人と対峙して戦っている老建築士です。
この度の第一話は、私と同じ様に年を重ね、1977年に新築したマイホームが2022年9月の台風14号により雨漏りしたことで修繕を余儀なくされた80歳代の老夫婦の保険会社との戦いをお話しします。
台風が去った数日後、45年来の長いお付き合いの大工さんから電話が入りました。
大工:「おい!家を見てくれんか?」
私:「いいけど、何?」
大工:「雨漏りだよ!」と聞いて、2022年9月19日の台風14号のことと思った。
大工:「それが、瓦が飛んでいる訳でもなく、めくれてもいない、何で雨漏りするのか原因がわからん」
私:「いいよ。まず写真撮りに行きます。」
大工:「2軒あるから、近所同士で・・・・同じようにこれまでの横殴りの豪雨でも雨漏りが止まっていたのに、雨漏りしてるから、台風が原因なのは間違いないと思うけど、家主は保険がきくだろうかと心配している。」
とのことでした。
その2軒は20m程離れた同じ団地の同じ時期に建った木造2階建モルタル塗り吹付け塗装瓦ぶきの家でした。
今回はその内の1軒、80代の老夫婦の家のお話です。
現地について、まずは雨漏り状態の事情聴収を行いその結果が以下の通り。
1,風は酷かったんですけど、夜の11時過ぎには寝ました。2時間後くらい経った1時が過ぎたころポトポトと足元で水が落ちている音がして目が覚めました。確認したらベッドの足下から床の周辺に雨が天井から落ちていました。すぐさま、ビニールシートなどを敷き込みました。
早めに気付き、対応したのでそれほど酷くはなっていませんでした。
2,リビングも同じような天井から雨漏り、一部壁や床柱にも雨が伝って流れていました。その他の場所で雨漏りはありませんでした。
3,目が覚めた時、雨は土砂降りでした。7~8年位前に隣の左官さんに外壁のひび割れ補修や屋根瓦のコーキング打ち、軒雨樋の掛け替えを行っていました。今年(2022年)の梅雨や夏の豪雨でも、雨漏りはしなくなっていたので、この雨漏りにはビックリでした。
雨漏りの箇所は南北に並んだ東側のリビングと、寝室の2階の外壁がが乗った1階の下屋の部分からでした。下屋の流れの長さは、2階の外壁から1階部分が半間はみだしており、その先が軒先となっており、合計1.7m程のセメント瓦の部分でした。過去の瓦止めコーキングを打った後がありましたが、ほとんど切れていました。
その下屋の部分で雨漏りがするような、セメント瓦の割れなど見つかりませんでした。大きくズレたりも、剥がれたりもしていませんでした。
それで、私の結論は10分間の最大瞬間風速25m/sから30m/sの強風と10分間ごとの3mmから4mmの強い雨が重なり、強風で瓦が浮き上がり瓦の勾配が緩くなった時、発生した瓦の隙間に強風が吹き込み、流れ落ちて来た雨水が逆流した結果、屋根裏に流れ込んで雨漏りとなったと判断しました。(福岡管区気象台のデーターを基に記載しています)
これで、雨漏りの原因と因果関係は証明できたと考えています。
瓦の浮き上りは、別に風圧力計算で証明できています。
また、写真撮影の結果、軒樋にゆがみ、変形、ねじれ、樋受金物にだれ下がり、変形が見つかりました。これは雪災です。
雪災について、令和3年1月8から9日に渡って北九州市ほぼ全域で10㎝近い降雪がありました。8~9日の気温が最低―2度、最高1度と
気温が低く雪解けに時間がかかり、雪崩現象が起きた地域では11日まで雪が屋根に残っていました。特に軒先の樋に引っ掛かっていた状態です。
多くは軒樋に雪が集中的に集まり、低気温の為日中溶けた雪が完全に融けきれず軒樋に覆いかぶさり、樋の溝部分は、雪がシャーベットの状態で満水状態になっており、雪崩となった雪は軒樋に覆いかぶさるように一カ所に積み上がったようになっていました。軒樋には3日以上荷重を与えていた様です。
結果、軒樋に変形、ゆがみ、ねじれ、たわみ、軒樋受け金具も垂れ下がっていました。
これを雪災として保険請求をしました。
その結果保険会社の鑑定人の査定は以下の様な判定結果を出してきました。
1)、風災についての判定
約款(保険金を支払わない場合)に記載、かぜ、雨、雪、雹、砂塵、その他これらに類するものの吹き込みまたはこれらのものの漏入により生じた損害に当たると判断しました。
保険対象の自然の消耗もしくは劣化以外の、有する機能の喪失と思われる部分(図面参照)について被保険者優位の観点を基に認定しました。
認定額:損害額164,705円+臨時費用16,339円=181,044円
2)、雪災についての判定
雪の重みにより軒樋の変形とのご連絡を頂きましたが、約款(保険金を支払わない場合)に記載、保険対象の自然の消耗もし桑劣化以外の、機能の喪失と思われる軒樋部分(図面参照)について被保険者優位の観点も基に認定しました。
認定額:損害額162,061円+臨時費用48,618円=210,679円
この保険会社の約款を確認することで、高齢者を狙った保険金詐欺が見えてきます。支払わなければならないのに嘘をついて払わないと騙しているので詐欺です。不払い事件ではありません。
この鑑定人である2級建築士は、約款の内容を熟知した上で、高齢者夫婦に嘘の説明を行っていました。知らなかったのではなく、熟知した上でのうその説明で保険金を少なく評価して保険契約者に金銭的損害を与えていた確信犯です。私の目の前でこの様な見え透いた詐欺行為をするとは、馬鹿な奴と思います。
この鑑定人は、高齢者が約款を読んでも理解できないと分かっているのです。それより、ほとんどの人が読まないと知っているので、この様なことを全国に渡って行っているのです。
この鑑定人は、忙しく北九州市だけでなく大阪や東京さらにその先まで足を延ばしていると言っていました。時には2年ほど家に帰れず全国を渡り歩いているそうです。儲かって仕方ないんでしょうね、羨ましいなぁ~、凄い人ですね。あほですけど!
保険会社にとっては、便利の良い鑑定人なんでしょうね。
今日はここまでです。
次回は、(保険金をお支払いできない場合)の約款をご紹介します。
そして、何故この鑑定人が確信犯だと分かったのかを説明します。
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